月末の棚卸のたびに現場が止まる会社で、本当に足りていないのは人手ではない

判断構造の破綻

月末17時、「今日は棚卸だから」で止まり始める現場

月末の夕方17時。
現場責任者が、何気なくこう言います。

「今日はこのあと、棚卸やるから」
誰も驚きません。
誰も反対しません。

それでも、この一言が出た瞬間から、
その現場では動いていたはずの仕事が、静かに止まり始めます。

ピッキングの手が止まり、出荷の段取りが後ろにずれ、電話が鳴っても「今日は棚卸なんで」と誰かが答える。

誰もサボっていないのに、会社全体が少しずつブレーキを踏み始めます。

誰もサボっていないのに、なぜか丸一日止まる棚卸

棚卸の日は、いつもより人が集まります。
・在庫を数える人
・記録する人
・チェックする人
人数だけ見れば、むしろ「普段より多い」くらいです。

それでも仕事は進みません。
・出荷は後ろ倒し
・入荷検品は棚卸後回し
・営業からの「今日出せない?」に誰も即答できない
そして、こう言われます。
「棚卸の日は仕方ないよね」

多くの会社は、ここでこう考えます。
「やっぱり人が足りない」
「システム入れないと無理だよね」

「人が足りない」前に、本当に詰まっているもの

もちろん、人手やシステムも大切です。
ただ、棚卸のたびに毎回現場が止まる会社を見ていると、先に壊れているのは人数ではありません。

壊れているのは、棚卸における判断の設計です。
・棚卸中、どの仕事まで止めていいのか
・逆に、何は絶対に止めてはいけないのか
・数が合わなかったとき、誰が決めるのか
これが決まらないまま、「とりあえず全員で数えよう」となってしまう。

結果、数える人は増えても、決める人がいなくなります。

棚卸で毎回止まる会社に共通する「判断待ち」

棚卸現場をよく見ると、止まっているのは「数えている時間」よりも、判断を待っている時間です。
・実在庫とシステム数が違ったとき、どう処理するか決められない
・不良品・サンプル・預かり品を含めるか迷う
・「この注文分は出荷扱いでいいのか」を誰も決めない

そのたびに出る言葉は、決まっています。
「一度、上に確認します」
「経理にも聞かないと」
在庫の山の前で、人も時間も止まったままになります。

止まる棚卸をやめるために、決めることは3つだけ

棚卸のたびに現場が止まる会社でも、
やることは意外とシンプルです。

決めることは、次の3つだけです。

1. 棚卸の日に「絶対に止めない仕事」を決める

・出荷確定
・緊急オーダー対応
・クレーム対応

2. 数が合わないときの扱いを事前に決める

・差異 何%以内はこう処理
・それ以上は誰が判断するか

3.棚卸中でも「決める人」を必ず1人空ける

数える人を増やす前に、判断を下す役割を確保する。

多くの会社は、ツールを入れる前に、まずここを整えています。

結論 「棚卸の日は仕方ない」と言う会社は、設計が足りない

棚卸のたびに現場が止まるのは、現場が怠けているからでも慎重すぎるからでもありません。
止まっているのは、棚卸そのものではなく、判断構造です。

在庫もある。
人もいる。
棚卸もちゃんとやっている。

それでも月末になると現場が止まるなら、足りていないのは人手ではなく、判断の設計です。



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