在庫はGoogleスプレッドシートで十分だと思っていた中小企業が、セールの日に崩壊した話

在庫・業務判断の構造

― スプレッドシートでも、在庫管理システム(ERP)でも、結局「判断ルール」がなければ現場は止まる

セールの朝、スプレッドシートが燃えた日

セール初日の朝、私たちの在庫は1枚のGoogleスプレッドシートで管理されていました。

行数は多いけれど、人数も少ないし、
「うちの規模ならこれで十分だよね」と、
誰も疑っていませんでした。

ところが、セール開始から2時間後。
モールA・自社EC・電話注文の3つから、同じ人気商品に注文が集中します。

スプレッドシート上の在庫:5個
倉庫の棚に見える在庫:3個

担当者がつぶやきます。

「これ…全部出して大丈夫かな?」

ここから、在庫より先に“確認”が増え始めました。

Googleスプレッドシートで在庫が崩れた日

担当者A
「シート上は5個あります。昨日の夜もちゃんと更新しました。」

担当者B
「でも、さっきモールAの注文を3個に変えたよ?反映したの誰?」

営業
「外からスマホで開いて、行をコピーして上書きしちゃったかも…」

倉庫担当
「この商品、実は不良在庫が2個あって、棚の奥に避けてあります。」

30分もしないうちに、スプレッドシート上の在庫は

5 → 3 → 7 → 4

と、意味の分からない数字を行き来し始めました。

そして、誰も言えなくなります。

「この大口注文、今ここで出していいです」

結局、お客さまにはこう伝えることになりました。

「一度、確認して折り返します」

在庫よりも、「確認作業」のほうが先に増えていきました。

在庫管理システム(ERP)を入れたのに、また現場が止まった日

この事件をきっかけに、

「さすがにスプレッドシートは限界だ」

と、私たちは在庫管理システム(ERP)を導入しました。

数か月後。

在庫はリアルタイムに見えるようになり、
誰がいつ更新したかもログで追えるようになりました。

そして、再びセールの日。

あの人気商品に、大口注文が入ります。

担当者A
「ERP上の在庫は12個。注文は10個。出せます。」

担当者B
「でも、外注倉庫の分ってちゃんと含まれてます?前にズレてたことありましたよね。」

上司
「一回、倉庫に電話して実在庫を確認してからにしよう。」

─ 結局、また1時間止まりました。

在庫は“正しく”見えているのに、
「今この注文を通していいか」の判断は、相変わらず人の確認に頼ったままでした。

なぜ誰も決められなかったのか

止まっていたのは、ツールではありません。
止まっていたのは、次の3つでした。

1. 判断ルールが一行もなかった

在庫が何個あれば即決OKなのか。
どこから上長確認なのか。
それが一度も言語化されていませんでした。

2. 数字と責任が結びついていなかった

「自分の判断で出して、ズレたら怒られる」
その怖さが、全員を慎重にさせていました。

3. ERPが“判断材料”で止まっていた

在庫管理システム(ERP)は数字を見せてくれます。
でも「この条件ならGO」とは言ってくれません。

結果、

スプレッドシートでも
ERPでも

現場は「一度確認します」に戻っていきました。

だから、今回のERPでは「判断」を最初に設計した

この経験から、私たちが出した結論はシンプルです。

在庫管理で減らすべきなのは、「作業」より先に「迷い」だ。

そこで、今回開発しているERPでは、
最初から「判断ルール」を画面に組み込んでいます。

・この在庫条件なら、誰が即決していいのか
・大口注文・セール時に迷いやすいパターンの可視化
・外注倉庫が絡むときの判断ラインの明文化

Googleスプレッドシートで限界を感じている会社も、
ERPを入れたのに「確認」が減らない会社も、

「ツールを変える」前に
「判断ルールを一緒に入れる」という選択肢があります。

最後に

在庫はある。
人もいる。
ツールもある。

それでも現場が止まるなら、
足りていないのはシステムではなく、
「誰が、どこまで決めていいか」という設計です。

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